トヨタ ハイラックス▲釣り場への移動やタックルを積み込む車は、もはや釣具だ。釣りを極める者はいかにして車を選び、どのように使っているのか? アングラーに釣車へのこだわりを聞いてきた

傷なんて気にしない! どデカいボディで林道もガシガシ攻めれる釣車

渓流用のトラウトロッドやロッドビルディングパーツ、ルアーなどを手がけるメーカー「Hitotoki Works」を経営する上村陽介さん。

主力商品は、グリップ脱着式の「グリップジョイントシステム(GJS)」を採用したロッドで、あわせて手持ちの既製品ロッドをGJS化するパーツや、GJSロッドを取り付けるオリジナルハンドルも取り扱う。グリップにはギター製作にも使われる特殊な塗装手法を取り入れるなど、こだわりがつまった商品群は、見るだけでもわくわくする。

トヨタ ハイラックス▲Hitotoki WorksのGJSを採用したグリップと、リールをカスタマイズできるハンドルノブ
トヨタ ハイラックス▲Hitotoki Worksからリリースされているインジェクションルアー「IGNA50S」

もちろん仕事にしてしまうほど釣りが好きで、特に渓流、トラウトフィッシングを愛している。拠点とする静岡から頻繁に向かうフィールドは、主に岐阜や長野で、年に2回は空路で北海道へも足を延ばす。

そんな上村さんの足となる愛車は、ハイラックスだ。大きな車が好きで、迫力ある顔つきも気に入っているという。

トヨタ ハイラックス
トヨタ ハイラックス

渓流に向かう林道では大きすぎませんか?と聞くと、「両側木の枝でガシャガシャこすれて傷だらけだけど、ダンプが通って作った道だと思えば余裕っすよ」とワイルドに笑う。

ピックアップトラックのベッドと呼ばれる荷台には、風雨を防ぐシェルが架装されている。新車で買ってすぐ上村さんが1人で取り付けたが、「100kg以上あるので1人じゃ持ち上げられなくて、ベッドの上で組み立てながら取り付けました。めっちゃ大変だったし、新車なのにいきなり傷がバンバン付きました」と苦笑いだ。

トヨタ ハイラックス
トヨタ ハイラックス

快適性や便利さよりも、自分のスタイルに合うものを選びたい

ベッドの中はがらんとして意外にもシンプル。ロッドホルダーすら取り付けられていない。「なんにでも使える」というトラロープの存在感もあって、林業にでも使われているかのような、トラックらしいたたずまいが潔い。

「濡れものも気兼ねなくガシャっと放り込めるのがいいんですよ」

トヨタ ハイラックス

釣行だけではなく、商品サンプルを積み込んで、全国で開催される釣りやアウトドア関連のイベントにも毎月のように走るため、積載性が最優先。

春に予定している北海道への転居に伴う引っ越しやゴミ出しも「めっちゃラク」だが、「ただ狭いんで、車中泊はキツイ」。ポップアップテント一体型のシェルなど、車中泊仕様化することにも惹かれているそうだ。

トヨタ ハイラックス

「快適性でいったら箱バンがいいってわかってるんですけど、なんかそこいったら負けみたいな(笑)。やっぱり四駆らしい形とか、遊び心、かっこよさは妥協できないっすね。釣りもそうですけど、魚をたくさん釣るっていう機能よりも、きれいな自然の中で映える道具を持ちたいっていうスタイル、そういう釣りの楽しみ方にも通じるっていうか」

トヨタ ハイラックス

北海道では、リュックひとつで来て気軽に釣りを楽しめるような、観光事業をスタートすべく計画中だ。

「北海道は渓相も独特で、地形の変化にも富んでゲーム性が高くて、魚もめっちゃデカいし、北海道にしか生息しない魚種もいっぱいいる。それでとにかく広い! あの景色にはやっぱりこういう車が似合うじゃないですか。あの大自然の中で、こういうデカい車を走らせるっていうだけで、もうわくわくするんですよ」

上村さんは、そういって子供のように目を輝かせた。

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トヨタ ハイラックス(現行型)× 全国
文/竹井あきら、写真/柳田由人
メルセデスベンツ Vクラス

上村陽介さんのマイカーレビュー

トヨタ ハイラックス(現行型)

●年式:2022年
●購入金額/360万円
●マイカーの好きなところ/積載量と見た目
●マイカーの愛すべきダメなところ/デカすぎて山道でのUターンが大変
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/ワイルドに使う人に

竹井あきら

ライター

竹井あきら

自動車専門誌『NAVI』編集記者を経て独立。雑誌や広告などの編集・執筆・企画を手がける。プジョー 306カブリオレを手放してからしばらく車を所有していなかったが、2021年春にプジョー 208 スタイルのMTを購入。近年は1馬力(乗馬)にも夢中。